電気屋奮闘記

イメージが大切

イメージが大切

ホール及び会議室の空調機が冷えないとのコールをいただき調査に!

工事名:ビル用マルチ空調機修繕
工事概要:ナショナル製20馬力ビルマルチ空調機室内機7台3系統修繕
症状:空調機が冷えない

まずは、A会議室

室内機は4方向天井カセット2台と2方向天井カセット1台の計3台を
1つのリモコンで運用。

リモコンを見てみると異常コード:E4
”低圧圧力異常のコード”です。
「フムフム、ガス漏れかな~」と思いながら次の部屋へ

続いて、大ホールB

こちらは4方向天井カセット2台を1つのリモコンで運用。

リモコンを見てみると異常コード:U0

”ガス欠警報”です。
「フムフム、ガス漏れは間違いないかな~」などと思いながら次の部屋へ

最後に、大ホールC

こちらも4方向天井カセット2台を1つのリモコンで運用。

リモコンを見てみると異常コード:J2

”圧縮機電流センサー不良”のコードです。

おおよそのイメージを持つことが出来ました。


そして、屋上の室外機へ

10馬力の室外機を2台連結した商品です。

室内機7台がこの20馬力の室外機につながっています。

アングル鋼材で室外機を固定して、室外機底にも鋼材を入れています。
外板がかなり錆で危うい状況です。

圧力ゲージを繋いでみると、圧力0.095Mpa。
冷媒ガスがほとんどありません。

という事で…

屋上まで窒素を上げ、ガス漏れ探査

2Mpaぐらい入れると何やら音が・・・??
窒素が漏れている音でした。

「どこかな~」と音の元を追うと、正面から見て左の室外機の連結部分から聞こえてきます。

音の感じから「熱交のUベントかな~」と思いましたが、右の室外機を移動してパネルを外さないと確認ができません。

一人で出来るのはここまで。

概算で見積を出し了解をいただいたら、4名ぐらいで修理に伺います。


見積りの段階で・・・

熱交器2台交換と溶接肉盛りの2パターンで見積を提示したいのですが、冷媒量が不明。
通常新設工事時に配管長と追加冷媒量を室外機に記載しますが、この空調機には記載なし。

*実際の配管長と追加冷媒量の記載

冷媒量が分からない状態・・・。

「10馬力に初期充填量8.6Kg×2台」、「配管長はおおよそ35m」
配管φサイズごとのメーターが知りたいが、これを調べるのは無理と判断し、とりあえずR410A30Kg分準備する見積を出しました。

溶接肉盛りの方でOKが出ましたので、R410Aの10kgボンベ3本準備それと
電流センサー基板2個準備して修理に伺います。

修繕開始

まずは連結部分のパネルが外れるぐらい右側の室外機をそっ~と移動させます。
外板は朽ちていました。

外板が朽ちて配管もおり、配管もつながったまま行うので慎重に移動し、外板を外します。
そうして、ガス漏れ箇所の特定をしていきます。

前回の調査である程度の場所は検討がついておりましたので、窒素加圧しながら耳を澄ませ、検知スプレーでリーク個所を場所を探します。

Uベンドの下側にありました。

溶接肉盛り修理

窒素を放出させなながら、早速溶接肉盛り修理をおこないます。

まずはロウ材がのりやすいように、軽くペーパー掛けをします。

肉盛り溶接は経験技術が必要!
肉厚が薄い上にピンホールがあるという事はもろくなっているので、逆に穴をあけてしまう可能性があります。火力調整が重要です。

窒素が抜け切るギリギリのところで炙っていき、ロウ材をピンホール箇所に乗せる・盛るイメージで溶接を行います。

溶接が無事に完了いたしました。

気密テスト

溶接が終われば、再び窒素による気密テストです。

漏れ箇所が1か所とは限らないので、補修した場所も含めよく観察して確認します。

今回は補修箇所の1か所のみのリークでした。

窒素を放出後、真空引きを行います。

真空ポンプ2台で約2時間行います。

電流センサー基板交換

真空引きをしている約2時間の間に、機械は元に戻して電流センサー基板も交換していきます。

この電流センサー基盤ですが、インバーター圧縮機が起動してから一定条件後に起動する定速圧縮機の電流を見る保護装置です。

定速圧縮機の電流値が通常値でも「異常コード:J2」を出す場合は、ほぼこの基盤不良です。

後は…冷媒ガスチャージ

充填量が不明なので、とりあえず20Kg充填して試運転を行います。

運転圧力と電流値を見ながら、充填していきます。

結局準備した30Kgすべて入れて運転データーは

高圧:2.33Mpa 低圧:0.78Mpa

吐出管温度:65.2℃ 吸入管温度:14.5℃

運転電流25A

試運転良好で修理完了となりました。

ご依頼ありがとうございました。